Royal Navy (HMS) /イギリス海軍
ご紹介しているモデル
前弩級戦艦:6クラス
準弩級戦艦:2クラス
装甲巡洋艦:7クラス
弩級戦艦:6クラス
超弩級戦艦:8クラス+計画1クラス
新戦艦:3クラス(未成1クラスを含む)
Pre-Dreadnought /Semi-Dreadnought Era
イギリス海軍では、この近代戦艦の時代から、特に戦艦においてはその砲戦距離の伸長に伴う射撃理論の構築等の観点から、戦隊での行動、艦隊運動などに注目が高まる。かつ二国標準といって、同時に二カ国の艦隊を相手取る能力を意識しはじめ、これらが相まって、同型艦をある程度の数そろえる傾向が見られるようになる。
近代戦艦:前弩級戦艦 pre-Dreadnought battleship
Royal Sovereign-class battleship - Wikipedia
(1892- 14,380t, 16knot, 13.5in *2*2, 7 ships )
近代戦艦の嚆矢とされる記念すべき艦である。 まだ、主砲は露砲塔形式で搭載されている。速力も16.5ノットと、まだ低速に甘んじている。
実は八番艦のフッドでは、全周密閉型の砲塔が導入された。しかしその結果、重量増対策として砲塔甲板を下げざるを得ず、乾舷の低い、外観の異なる艦になってしまった。
Majestic-class battleship - Wikipedia
(1895-, 16,060t, 17knot, 12in*2*2, 9 ships)
主砲口径をロイヤルソブリン級の34センチから30センチに改め(ただし35口径の長砲身)、初めて砲塔形式で主砲を搭載した。後期の2隻では、どの向きを向いていても装填可能な形式を導入した。また、重油・石炭の混焼型機関が導入され、速力は17ノットに向上している。
二国標準の海軍力整備の思想から、9隻という多くの同型艦が建造された。
Canopus-class battleship - Wikipedia
(1899-, 14300t, 18knot, 12in*2*2, 6 ships)
マジェスティック級の高速軽量化型として建造され、初めて18ノットの速力を得た。新型機関の採用により煙突位置がそれまでの並立から前後設置に変わった。
Formidable-class battleship - Wikipedia
(1901-, 14480t, 18knot, 12in*2*2, 8 ships)
日本がイギリスに発注した敷島型の高性能に刺激され、マジェスティック級の強化型として建造された。主砲に40口径が採用され、新型鋼板の採用で防御力も向上している。高出力機関の採用により18ノットの速力を出す。前期3隻をフォーミダブル級、さらに防御力を向上させた後期5隻をロンドン級と呼称することもある。
近代戦艦のスタンダード、と呼べる艦級である。
Duncan-class battleship - Wikipedia
(1903-, 13270t, 19knot, 12in *2*2, 6 ships)
高速軽防御をうたい、19ノットの速力を発揮する。 フォーミダブル級の縮小・高速版である。
Swiftsure-class battleship - Wikipedia
(1904-, 12175t, 19knot, 10in*2*2, 2ships)
チリ海軍がアルゼンチン海軍の新型装甲巡洋艦対策として、イギリスに発注した。折から日露開戦の気配が濃厚で、日本海軍が戦争準備のために購入を交渉したが不調に終わり、ロシアの入手を防ぐために、当時日本と同盟関係にあったイギリスが購入した。
ロシア海軍のペレスヴェート級と同様、設計思想には装甲巡洋艦の拡大版の色合いが濃厚で、主砲は10インチとやや小さめの口径が採用され、軽防御、その代わり19.5ノットの高速を有している。
装甲巡洋艦 Armored Cruiser
以下の7クラス、36隻が建造された。
各級の変遷を追うと、大変興味深いことに、前述のように、巡洋艦本来の任務への適性に重点を置いた航洋巡洋艦の強化の系譜を辿りながら、次第にその新たな仮想敵となった独海軍の装甲巡洋艦群への対抗上の必要性から、次第に強大な砲力を指向していく傾向が見て取れる。
Cressy-class cruiser - Wikipedia
(1901年竣工、12,000トン、23.4cm(40口径)単装砲2基、21ノット)6隻
いかにも伝統あるイギリス海軍の巡洋艦、というシルエットである。その後のイギリス装甲巡洋艦の基本形と言える。
(114mm in 1:1250)
Drake-class cruiser - Wikipedia
(1902年竣工、14,150トン、23.4cm(45口径)単装砲2基、23ノット)4隻
前級より艦型を大型化し、機関を強力にした。結果、23ノットの高速を得た。大型化により、副砲の搭載数を増やしている。
(128mm in 1:1250)
Monmouth-class cruiser - Wikipedia
(1903年竣工、9,800トン、15.2cm(45口径)連装速射砲2基+同単装速射砲10基、23ノット)10隻
大型化しすぎた感のあった前級から一転し、軽量化を目指した。備砲は主砲を廃止し前級では副砲であった15センチ砲で備砲を統一した。連装砲塔を前後の上甲板に装備し、舷側砲とあわせて14門を装備した。機関を簡素化しながら23ノットの速力は維持したものの、装甲も軽くしたために、やや不評であった。
(110mm in 1:1250)
Devonshire-class cruiser (1903) - Wikipedia
(1905年竣工、10,850トン、19.1cm(45口径)単装速射砲4基、22.25ノット)6隻
前級の反省から、主砲口径を19センチ級にあげ、これを4門単装砲で装備し、火力を向上させた。防御力も改善され、速力も22ノットを発揮した。
(115mm in 1:1250)
デューク・オブ・エジンバラ級装甲巡洋艦 - Wikipedia
Duke of Edinburgh-class cruiser - Wikipedia
(1906年竣工、13,550トン、23.4cm(45口径)単装砲6基、23.25ノット)2隻
主砲を23センチ級単装砲6基とし、一層向上させた。速力は23ノットを回復している。
(124mm in 1:1250)
Warrior-class cruiser - Wikipedia
(1906年竣工、13,550トン、23.4cm(45口径)単装砲6基、19.1cm(45口径)単装砲4基、23ノット)4隻
(no photo)
副砲口径を19センチ級に上げている。
Minotaur-class cruiser (1906) - Wikipedia
(1908年竣工、14,600トン、23.4cm(50口径)連装砲2基、19.1cm(50口径)単装砲10基、23ノット)2隻
イギリス海軍最後の装甲巡洋艦。19センチ級副砲の搭載数を10門に強化している。
強化型近代戦艦:準弩級戦艦 semi-Dreadnought battleship
King Edward VII-class battleship - Wikipedia
(1905-, 16350t, 18.5knot, 12in*2*2 & 9.2in*1*4, 8 ships)
砲力強化の為、従来の主砲(30.5 センチ砲 4門)に加え、強力な中間砲(23.4センチ砲 4門)を搭載する最初の中間砲搭載艦として設計された。単一巨砲搭載艦(ドレッドノート)への発展途上の設計である。
Lord Nelson-class battleship - Wikipedia
(1908-, 15358t, 18knot, 12in*2*2 & 9.2in*2*4+9.2in*1*2, 2 ships)
前級で試みられた中間砲を強化し、副砲を廃止した。中間砲には前級と同様、23.4センチ砲を採用し、連装砲塔4基と単装砲2基の形式で計10門、搭載した。
砲力は強大であったが、実際には異なる口径の砲の管制・運用は非常に困難で、加えて就役前には、既に単一巨砲搭載艦のドレッドノートが完成しており、完成時から旧式艦として扱われた。
Dreadnought /Super-Dreadnought Era (around WW1)
この時期、イギリス海軍は世界最大の海軍であり、その装備の他国に対する優位性は、長いイギリス海軍の歴史を通じ、おそらく頂点にあった。
ドレッドノートの母国だけに、列強中、群を抜いて、22隻の弩級戦艦、超弩級戦艦を、さらに9隻の弩級・超弩級巡洋戦艦を揃えて、第一次世界大戦に臨んだ。更に超弩級戦艦2隻、超弩級巡洋戦艦1隻が建造中であった。
弩級戦艦 Dreadnought battleship
HMS Dreadnought (1906) - Wikipedia
(1906-, 18,110t, 21knot, 12in *2*5)(126mm in 1:1250)
言わずと知れた、弩級戦艦の始祖。この艦の登場が、それまでの全ての戦艦を旧式にしてしまった。
Bellerophon-class battleship - Wikipedia
(1909-, 18,800t, 21knot, 12in *2*5, 3 ships)(128mm in 1:1250)
実用量産型ドレッドノート。副砲の口径を強化した。
St Vincent-class battleship - Wikipedia
(1910-, 19,560t, 21knot, 12in L50 *2*5, 3 ships)(130mm in 1:1250)
主砲を50口径に強化し、副砲の数を増やした。既述のように、採用した50口径主砲に不調があり、やがて長砲身砲を諦め、口径を大きく強化する超弩級艦の検討がはじまる。
HMS Neptune (1909) - Wikipedia
(1911-, 19,680t, 22.7knot, 12in L50 *2*5)(132mm in 1:1250)
主砲塔の配置を変更し、全門両舷を指向できるように改善された。
Colossus-class battleship (1910) - Wikipedia
(1911-, 20,225t, 21knot, 12in L50*2*5, 2 ships)(133mm in 1:1250)
ネプチューンと同一戦隊を構成することを予定して建造された、ネプチューンの準同型艦。始めて2万トンを超えた。
HMS Agincourt (1913) - Wikipedia
(1914-, 27,500t, 22knot, 12in *2*7)(163mm in 1:1250)
ブラジル海軍の発注し、途中トルコ海軍が買い取った艦を、イギリスが押収した。主砲塔7基14門、副砲20門は、戦艦の搭載数としては最大である。
超弩級戦艦 Super-Dreadnought battleship
Orion-class battleship - Wikipedia
(1912-, 22,200t, 21knot, 13.5in *2*5, 4 ships)(141mm in 1:1250)
強力な主砲として期待された50口径30.5センチ砲であったが、命数、精度に課題があった。そのため本艦から34.3センチ砲を主砲として採用し、全ての砲塔を首尾線上に配置し両舷への射界を確保した。初の超弩級戦艦 である。
キング・ジョージ5世級戦艦 (初代) - Wikipedia
King George V-class battleship (1911) - Wikipedia
(1912-, 23,000t, 21knot, 13.5in *2*5, 4 ships)(145mm in 1:1250)
基本的にはオライオン級の準同型艦である。 主砲が改善され弾量が上げられた。
Iron Duke-class battleship - Wikipedia
(1914-, 25,000t, 21.25knot, 13.5in *2*5, 4 ships)(150mm in 1:1250)
キング・ジョージ5世級の改良型。副砲の口径を15.2センチ砲と強化した。
HMS Canada: ex Chilean battleship Almirante Latorre - Wikipedia
(1915-, 28,600t, 22.5knot, 14in *2*5)(158mm in 1:1250) She was bought by the United Kingdom's Royal Navy for use in the WW1.
チリ海軍の発注艦を、第一次大戦の勃発とともにイギリスが買い取った。35.6センチ砲を主砲として搭載している。
(1914-, 22,780t, 21knot, 13.5in *2*5)(126mm in 1:1250)
トルコ海軍が発注した艦を、イギリスが押収し、艦隊に編入した。 キング・ジョージ5世級を基本設計としている。
Queen Elizabeth-class battleship - Wikipedia
(1915-, 29,150t, 25knot, 15in *2*4, 5 ships)(154mm in 1:1250)
38.1センチ砲を主砲として採用し、砲力の格段の強化を図った。あわせて速力を25ノットとして、高速化を図った。高速戦艦の登場である。
近代化改装
最終改装では、艦橋構造の変更、副砲の撤去と対空兵装の充実などが行われ、艦容が一変するほどのものとなった。装甲重量、重厚な艦橋など、重量の増加に伴い、速力の低下を甘んじて受け入れざるを得なかった。
(1942近代化改装後: 32,930t, 23knot, 15in *2*4, 5 ships,154mm in 1:1250)
(直上の写真:上段、改装前、下段、改装後)
Revenge-class battleship - Wikipedia
(1916-, 28,000t, 23knot, 15in *2*4, 5 ships)(150mm in 1:1250)
アイアン・デューク級の船体に38.1センチ砲を搭載する方針で設計された。重油専焼ボイラーを搭載し、速力を23ノットとした。
近代化改装
最終改装はクイーン・エリザベス級ほど徹底したものではなかったが、防御装甲の強化、舷側へのバルジの追加、対空兵装の強化などが行われ、速力が低下した。
(1942近代化改装後 33,500t, 21.5knot, 15in *2*4, 5 ships, 150mm in 1:1250)
(直上の写真:上段、改装前、下段、改装後)
(1927-, 33,950t, 23knot, 16in *3*3, 2 ships, 176mm in 1:1250 by Mountford)
ワシントン軍縮条約の結果、英海軍は本級の新造を認められた。本級はワシントン条約で定められた制限排水量内での最大攻撃力と最大防御力を目指した、いわゆる新標準で最初に設計された戦艦となった。このため16インチ主砲を三連装砲とに収め、すべて前甲板に配置し、集中防御を徹底するなど大変意欲的な設計となった。一方で速力は23ノットに甘んじた。
英海軍の整備計画
特に第一次大戦の惨禍に疲弊著しい英国は新造艦の計画を持たなかったが、保有枠一杯に既存艦を維持することとした。あわせて、すでに相当数該当する代替艦手当の可能なクラスから、一部建造計画を見直したG3級(インビンシブル級)巡洋戦艦、N3級(ブリタニア級)戦艦を置き換えていく検討を始めた。
しかし、当初の設計案を条約の制約内でそれぞれの設計を実現することは困難で、あわせて疲弊した国力下での財政て縦の目処は立たず、条約期間内に建造されることはなかった。
わずかに、代替艦として、ロドニー級を新たに2隻建造し、艦隊に編入した。
以下に、検討にあがったG3級巡洋戦艦、N3戦艦の要目を示しておく。
G3級の特徴は、まずそれまでの概念を覆すほどの外観である。その得意な武装配置、機関配置が具現化しようとしたものは、集中防御と砲撃精度、さらには機関の集中による高速力の確保であった。巡洋戦艦に分類されているが、これは同時期に計画されたN3級戦艦との対比によるもので、同時期の戦艦よりも早く、重武装、重防御であった。
しかし条約の定めた42,000トンの制約ではどうしても実現できず、条約期間中に建造される事はなかった。
(48,400t, 32knot, 16in *3*3, 2 ships, 215mm in 1:1250 semi-scratched based on Superior)
前出のG3級巡洋戦艦と同一の設計構想に基づく得意な外観を有している。G3級が速度に重点を置いた一方で、N3級戦艦は重武装にその重点が置かれていた。計画では、速度をネルソン級戦艦と同等の23.5ノットに抑える一方、主砲を18インチとした。
こちらも条約制約により16インチ主砲装備とした場合、ネルソン級で十分で、条約期間中に建造される事はなかった。
(48,000t, 23.5knot, 20in *3*3, 2 ships, 200mm in 1:1250 semi-sucratched based on Superior)
日米両海軍が、条約下でその戦力を充実させることに一定の成功を収めたのに対し、英海軍は既存戦力の維持にとどまり、明暗が分かれる結果となった。
弩級巡洋戦艦 Dreadnought battlecruiser
Invincible-class battlecruiser - Wikipedia
(1908-, 17,373t, 25.5knot, 12in *2*4, 3 ships)(136mm in 1:1250)
戦艦と同等の砲力と、巡洋艦の速力を兼ね備えた新しい大型装甲巡洋艦として設計され、巡洋戦艦の始祖となった。
Indefatigable-class battlecruiser - Wikipedia
(1911-, 18,500t, 25knot, 12in *2*4, 3 ships)(144mm in 1:1250)
インヴィンシブル級の改良型で、主砲の反対舷への射界を改善した。副砲の搭載数を増やしている。
超弩級巡洋戦艦 Super-Dreadnought battlecruiser
Lion-class battlecruiser - Wikipedia
(1912-, 26,270t, 27knot, 13.5in *2*4, 3 ships)(167mm in 1:1250)
主砲を34.3センチ砲とし、全て首尾線上の配置とした超弩級巡洋戦艦である。
(1914-, 28,430t, 28.7knot, 13.5in *2*4)(170mm in 1:1250)
日本の金剛級の改良型として建造された。機関の配置等に工夫が見られ、射界が改善された。
(1916-, 27,200t, 32knot, 15in *2*3, 2 ships, 194mm in 1:1250 by Neptune)
本級は、究極の巡洋戦艦(速力は最良の防御)を具現化すべく、30ノット以上の速力を発揮し、かつクイーン・エリザベス級と同等の15インチ主砲を搭載する、という設計思想で建造された。後にユトランド沖海戦の戦訓などから、防御力の改善が行われたが、それでも純分なレベルには達し得なかった。しかし、その高速性は、有用で、レナウンは数次の階層を経て、第二次世界大戦を通じ第一線で活躍した。
近代化改装
艦橋をキング・ジョージ5世級と同様の塔型のものに改め、装甲等を強化し重厚な艦容となった。対空兵装を強化するなどに伴う重量の増加で、速力が27ノットに低下した。
(1939近代化改装後 32,000t, 27 knot, 15in *2*3, 2 ships, 194mm in 1:1250 by Neptune)
(直上の写真:上段、改装前、下段、改装後)
(1920-, 46,680t, 32knot, 15in *2*4, 216mm in 1:1250 by Neptune)
英海軍が建造した最後の巡洋戦艦である。非常に優美な外観を持ち、英国民からは「マイティ・フッド」の愛称で呼ばれ、英海軍を象徴する艦として親しまれた。
建造中に発生したユトランド沖海戦で、英海軍は巡洋戦艦を失い、その防御力の全弱性が指摘された。このため本艦では、その高速性を毀損しない限界まで防御力に対する見直しが行われた。
近代化改装
史実では本艦は1941年5月21日、デンマーク海峡海戦で独戦艦ビスマルクにより撃沈されてしまうが、ここではさらにその後の近代化改装を受けた形を示している。改装により艦橋構造が塔型となり、キング・ジョージ5世級戦艦に採用された両用砲を装備した。装甲がさらに強化され有力艦となったが、優美さはやや損なわれ、さらに速力が低下した。
(1939近代化改装後: 48,500t, 27 knot, 15in *2*4, 216mm in 1:1250 by Superior)
(直上の写真:上段、改装前、下段、改装後)
新戦艦の時代
本級の建造に当たっては、当初、主砲口径の選択肢が16インチ、15インチ、14インチの三案あったとされている。英国は海軍軍縮条約の継続を強く望んだため、新造戦艦の設計で他国を刺激することを恐れ、その政治的配慮から最も控えめな設計を選択したとされている。
結果、本級は14インチ砲を選択し、さらに当初4連装砲塔3基12門の予定であった搭載数を、防御装甲への割り当てを増やすために4連装砲塔2基と連装砲塔1基、計10門の変則配置とすることになった。
結果、本級は防御力を重視した戦艦として建造された。
一方で、その攻撃力は、新設計の主砲、新設計の4連装砲塔など、大変意欲的な取り組みが見られたが、軽量化のために砲塔の高さを減じた窮屈な設計となり、故障の多発など信頼性に疑問が持たれるものとなった。
副砲として対艦・対空の両用砲を初めて採用し、連装砲塔8基16門を搭載した。両用砲として採用されたこの砲であったが、対艦射撃時の威力を重視したために、重い弾体が採用され、対空射撃時の速射性に課題が残った。
速力は28ノットと、前出のフランス、イタリアの新造戦艦に比較するとやや抑えた設計であった。
(1940-, 42,245t, 28.3 knot, 14in *4*2 +2*1, 5 ships, 181mm in 1:1250 by Neptune)
軍縮条約の継続を望んで、新造戦艦の第一弾であるキング・ジョージ5世級をやや控えめな設計とした英海軍であったが、やはりその諸元は列強の新造戦艦に対し、やや物足りず、ライオン級はこれを大きくしのぐ意欲的な設計となった。
前級のキング・ジョージ5世級戦艦は攻撃力にはやや見劣りがしたものの、その防御設計には見るべきものが多く、結局ライオン級は前級をタイプシップとしてその拡大強化型として設計された。
その為、艦容はほぼ前級を踏襲したものとなった。
主砲には新設計のMarkII 16インチ砲を採用し、同じ16インチ砲を搭載したネルソン級の手法よりも15%重い弾体を撃ち出すことができた。この結果、垂直貫徹力で2割、水平貫徹力で1割、その打撃力が向上したとされている。
この新型砲を三連装砲塔にまとめ、前甲板に2基、後甲板に1基を配置した。副砲には、前級と同じく対艦・対空両用砲を採用した。
防御形式は、定評のあった前級のものをさらに強化したものとした。
速力は、基本、前級と変わらないものとされたが、短時間であれば30ノットの高速を発揮することができた。前級同様、5隻が建造された(史実では建造されていませんので、ご注意を)。
(1942-, 44,000t, 28.5 knot, 16in *3*3, 5 ships, 207mm in 1:1250 by Superior)
新標準艦隊(The New Standard Fleet)計画の、いずれは計画的に代替される旧式戦艦 (リヴェンジ級)の主砲転用から着想した、比較的安価な急造高速戦艦建造プランの発展形が、本艦の設計の根幹にあった。
従って、主砲は15インチ砲であることは確定しており、船体の設計はキング・ジョージ5世級、あるいはライオン級に負うところが大きい。副砲も前2級同様の対空・対艦両用砲を採用している。
(1944, 48,500t, 30 knot, 15in *2*4, 200mm in 1:1250 by ???)
(英海軍新戦艦の艦型比較:左から、キング・ジョージ5世級、ライオン級、ヴァンガード)
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